ペーパーレス化とは、書類をスキャンするなどして電子データに変換することで書類による運用保管を極力削減し、生産性向上や経費削減につなげる試みをいいます。新型コロナウィルスの防止のために急ピッチで導入を促されたのが「テレワーク(在宅ワーク・リモートワーク)」であり、オフィス外から書類を持ち出さずに必要な情報にアクセスするためにペーパーレス化は急務とされました。

ここではペーパーレス化のメリットデメリット、そして小規模事業主が賢くペーパーレス化を進めるのに気を付けたいポイントを解説します。

なぜペーパーレス化が必要か

オフィスに出社せずに(場所を問わずに)業務を行うためには、オフィス外から業務情報にアクセスしなければなりません。オフィスにいないメンバーとは必然的にチャットやメール上で情報共有が必要となるため、ペーパーレス化は不可避といえるでしょう。

オフィスに出社しないで働くテレワーク(在宅ワーク・リモートワーク)は感染症対策として、また災害対策として大変注目されています。また、有能な専門職は移動にかかる時間や労力に非常に敏感なため、「時間や場所を選ばない働き方」は仕事選びの大きな要素の1つになっている傾向もあります。

ペーパーレス化のメリット・デメリット

とはいえ、電子化が必ずしも適しているとは限らない場合も多々あります。ここではペーパーレス化のメリットデメリットについて見ていきましょう。

ペーパーレス化のデメリット

一覧しにくい不安、添削やメモには不向き

紙ですと複数枚をパッと閲覧でき一覧しやすいですが、デジタルデータでは必ずしもそうとはいえず、俯瞰しにくさを感じる場合もあります。また、細かな添削・文章校正などには紙のほうが間違いを発見しやすく、サッとメモですぐに書き込めるので扱いも簡単です。

ICT苦手な方がなじみにくい(高齢の社員が多い、アナログな仕事の進め方をしてきた等)

ICTに苦手意識のある方はデジタルデータを自力で探すのに慣れておらず、書類が手元になくなることに強い不安を感じる場合もあります。また、今まで紙で履歴を追う習慣が根強い、大量の冊子・書類を社員や関係者に配布している、伝票が分厚いファイルに閉じられている、1人1台のPCがない、ハンコで複数の承認印を押しているなど、従来アナログな手段で仕事を進めていた組織ではペーパーレス化がなかなか進まない傾向にあります。

上書き、消去、探せなくなるリスク

デジタルデータでは、誤って上書き・消去、読み込めなくなるリスクは常につきまとうため、バックアップ対策をしておきたいものです。目に見えないだけに増えすぎても気づきにくく、気がついたら手遅れ(=探す・整理するのに膨大な時間がかかる状態)になっていることも少なくありません。部署内ではしっかりとデータ保存ルール、主に保存すべき書類や命名規則などを設けておかないと、A社員が作成したデータを知らず・探せずにB社員がまた作成・・・といったムダも起こりやすくなります。

相手にインパクトを与えるには、まだまだ紙が有効

チラシなど、目立たせたいご案内は紙の方がパッと見やすく、優位な一面もあります。電子メールやメッセージもいいけれど、手書きのハガキをもらえるとなぜか嬉しく幸せな気持ちになれる。そういった、感覚的な要素も大きいですよね。

ペーパーレス化のメリット

経費削減

書類管理はきわめて煩雑なため、整理術ではお困りダントツNo.1とされます。ペーパーレス化によって書類そのものを扱う必要がなくなるため、たとえば以下のようなコストを削減できる可能性があります。

  • 用紙代
  • プリンタ関係(プリンタ本体・インクトナー)
  • 紙を保存・保管するための什器:棚・箱類
  • ファイリンググッズ
  • 個人情報をシュレッダー処理するための人件費
  • 紙を日の当たらない場所へ移動させる、埃を払うなど、メンテナンスにかかる人件費
  • 溶解処分のコスト
  • 書類管理しているスペース分の倉庫代・テナント代
  • 「オフィスにある書類が手元にないと処理できない」という理由で生じる移動の交通費


職員数4300名の北陸銀行では、ペーパーレス化でなんと1億もの経費削減に成功しているという記事も。

十分な作業スペースの確保・生産性向上

ワサワサした書類・書類箱が一掃されれば、作業スペースが広がり管理もラクになります。また書類が目につかなければ、今やるべき作業以外の情報が目に触れにくくなり、結果的につい作業中断してしまうリスクも減らせます。ひそかに生産性向上の効果も期待できるでしょう。

時間の節約(検索しやすい)

書類はどうしても現場で手と目を動かしながら1つ1つ探すことになりますが、データなら検索機能が活用できます。事前にしっかり運用&命名規則を設けておけば、大量の文書の中からでも必要な文書が見つかりやすくなるでしょう。

配布・管理・処分の時間や手間が省ける。電子承認も可能に

人数分を印刷し、ホチキス止めなどをして配布する作業が省けます。書いてもらったフォームの回収・処分の手間も同様です。

また、コロナ禍では「ハンコをもらう、押すためだけに出社」することがが大きな話題を呼んでいました。電子承認システムが活用できれば、従業員を不必要にリスクにさらすことがありません。ハンコ1つのための移動時間も節約できます。教育現場では「大量の宿題を受領・提出するためだけに生徒たちが分散登校する」ということも多々見うけられましたが、そういったリスクも回避することができるでしょう。

場所・PCに関係なく仕事ができる

人によっては何をいまさら?かもしれませんが、自宅や出先、サテライトオフィスなど、仕事に使う書類が手元になくてもオフィスと変わりなく作業できれば、生産性の大幅な向上につながります。

以前は自宅とオフィスで書類を持ち運ぶの大変!という話をよく耳にしましたが、データなら関係ありません^^

クラウドストレージに放り込んでおけばPCでもスマホでもタブレットからでも閲覧できますから、突然必要になったり、突然お客さまに見せたくなった資料でもすぐによびだせます。
PCが突然調子が悪くなると焦りますが、クラウド上にデータがあれば別のPCから接続すればよいだけ。大きな安心・バックアップとしての機能も果たします。

「新しい生活様式」との兼ね合い。有能な人材の確保

「テレワーク」は、前項目のチーム版といえるでしょう。業務に必要な情報にアクセスできれば、PC1台とネットワーク環境だけで時間・場所に関係なく連携しながら働くことができます。有能な社員は生産性に非常に敏感なため、会社にとって有益な人材の離職率ダウン・有能な人材獲得するための要素の1つになるでしょう。また、配偶者の転勤・介護や育児などでフルタイムの出社が厳しい社員に適用することもできますし、通院などで一時的に出社が厳しくなる折に適用することもできるでしょう。信頼性が高い社員がテレワークを通じて働き続けることができれば、企業側としても採用・教育コスト削減の大きなメリットが得られます。

賢いペーパーレス化の手順

とにかくスキャンすればいいんだよね!とおっしゃる経営者も多いのですが、やみくもに進めても不必要な紙が不必要なデータ?に置き換わって一層探しづらくなったり、クラウドやサーバーの容量を余計に消費してしまうことになりかねません。

最小コスト・最小の手間で済ませるためには、下記のポイントを押さえて進めましょう。

1.どの種類の書類をどこまで電子化するか、部署内で明確に定義し、共有する
■書類の種類・電子化する範囲(〇年分など) ■保存年限 ■期限到来後の取扱 など

1枚(一式)電子化して名前をつけるまでに少なくとも30秒~1・2分程度はかかりますので、紙が多ければ多いほど人件費も時間も要します。つまり社内対応でも外注でも、電子化する「範囲」の見極めがネックといえるでしょう。領収書や帳簿など、ほぼ見ないが法律で保存が必要・・・といった書類までを無理に電子化する必要はありません。

2.ルールに沿って書類を選別し、不必要な書類を予め処分しておく

同じ書類が部署内でコピーされ、残っていることも多々あります。
ダブりを極力減らすために、ここで不必要なものを予め取り除いておきましょう。

3.必要となった書類については、文書の種類ごとに電子化の優先順位を決める

今使っているもの、作成して1年以内など、使用頻度高い順に進めていくことがお勧めです。

4.データを保存するフォルダを準備し、スキャンする書類のネーミング規則を決める。

「冒頭に8桁日付_顧客名_書類名」など、半角全角・記号・スペースに至るまで細かくルールを定めておきましょう。マニュアル作成するなど、情報共有できればなお安心です。

5.スキャンして電子データ化し、所定のフォルダに保存する

6.スキャンで不要になった書類を消去する

7.しばらく運用しながら修正していく。バックアップも定期的に。

まとめ

ペーパーレス化はテレワーク導入に必要不可欠とされます。ペーパーレス化に適さないケースもあるものの、経費の大幅な削減をはじめ労力の削減・生産性向上・人材獲得・リスク回避につながるなどの大きなメリットは見逃せません。

コロナ禍後もテレワークへの流れは止まらないと予想されています。ムダ時間や経費削減のため、そして社会的にも、有能な人材にも「選ばれる」企業になるためにも、ペーパーレス化を検討されるのも一手ではないでしょうか。

今日もここまでお読みくださりありがとうございました!

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